お役立ちコラム
column
キュービクルはなぜ必要?高圧受電設備の仕組みとメリットを徹底解説
2025年07月17日
「キュービクルって、本当に必要なの?高圧受電にする意味って?」
ビルや工場、大型施設などで設置されることが多いのがキュービクル式高圧受電設備です。
一見専門的で難しそうに感じますが、実はこれを導入することで、電気料金の削減や電力の安定供給など、意外なメリットが得られるのです。
本記事では、キュービクルの役割や必要性、導入することで得られる具体的な利点をわかりやすく解説します。
コスト面や安全面での効果を知れば、「導入すべきかどうか」の判断がきっとクリアになります。

キュービクルはなぜ必要か
電力の安定供給や安全な使用が求められる現代社会において、キュービクルは欠かすことのできない設備です。
キュービクルを設置することで、単に法令を遵守するだけでなく、災害時の安全管理やコスト削減など、思わぬメリットを享受できます。
では、
キュービクルとはどんな設備か
キュービクルとは、主に高圧受電設備として使われる屋外型の電気設備ボックスです。
変圧器・遮断器・計器など、電力の供給や制御に必要な機器を一体化して収める構造になっており、高い安全性とコンパクト性が特徴です。
これにより、従来はバラバラに設置していた高圧機器をまとめて管理でき、場所も取らず工事期間も短縮できます。
また、密閉構造なので外部からのホコリや雨水の侵入も防いでくれるため、長期間安定した運用が可能です。
一般的な設置が求められる施設や建物
キュービクルの設置が一般的に求められるのは、受電する電力量が一定規模を超える施設です。
例えば、工場や大型商業施設、病院、オフィスビル、学校など、多くの電力を必要とする中規模以上の建物が該当します。
特に、契約電力が50kWを超える場合には高圧受電契約となり、キュービクルなどの高圧受電設備が必須です。
これにより、建物全体で効率的かつ安全に電力を使用できる環境が整えられます。
法律や基準から見るキュービクルの必要性
日本では電気事業法や消防法などの関連法規によって、一定規模以上の施設には高圧受電設備の設置が義務付けられています。
これは、電気の安全な供給や火災防止の観点から制定されているもので、その主役となるのがキュービクルです。
法律では機器の性能や設置方法だけでなく、定期点検や保守管理まで細かく定められており、無許可設置や管理不備は厳しく罰せられることもあります。
法令遵守はもちろん、周囲への安全配慮のためにもキュービクルは不可欠です。
キュービクル導入の基本的なメリット
キュービクルを導入すると、受電設備がコンパクトになり、省スペース化が可能となります。
さらに、設置工事の工期が大幅に短縮できるため、初期導入コストも抑えられます。
加えて、密閉構造により機器の劣化リスクが下がり、保守の手間やトラブル発生率も減少します。
また、メーカーの標準化設計によって安全性が高く、災害発生時の漏電や感電リスクの低減にも直結します。
結果的にランニングコストも削減でき、経済性の面でも大きなメリットがあります。
キュービクル設置に関する注意点と法的側面
キュービクル設置には法律・規則の遵守が不可欠であり、専門知識と手続きが求められます。
経済的・安全的なメリットが多い一方、資格や環境規制に基づいた正しい設計・管理が必要です。
ここではキュービクル導入時に押さえておきたい法的側面や、設置に不可欠な注意事項をまとめて解説します。
設置に必要な資格・免許と手続き
キュービクルを設置する際には、必ず電気主任技術者や電気工事士などの国家資格を持つ人が作業に従事する必要があります。
また、設置前には電力会社や自治体への届け出や事前協議が不可欠です。
施工内容によっては電気設備技術基準適合届出書などの提出も義務付けられています。
これらの手続きを怠ると、法令違反として罰則が科される場合があるため、専門業者の選定と事前準備が重要です。
電気事業法や消防法との関係性
キュービクルの設置・運用は主に電気事業法と消防法によって管理されています。
電気事業法では、設備容量や安全管理の基準が細かく規定されており、消防法では火災リスクに対応した設置基準が設けられています。
例えば、キュービクル内部の絶縁油の量や配置、高温部材の管理、放熱や避難導線の確保など、実務的な安全指導も行われます。
これらの法令を無視した設置や運用は重大な事故につながる可能性があり、厳格な遵守が求められます。
アスベストなど環境面での留意点
昭和期に製造された古いキュービクルや付属設備の中には、断熱材や耐熱材としてアスベストが使用されている可能性があります。
撤去や更新工事の際には事前調査と適切な処理が必須となり、環境基準を満たした廃棄方法を守る必要があります。
また、現在では環境保護・省エネ対応の最新設計も求められるため、省エネルギー機器やリサイクル部材を採用した新型キュービクルの導入が推奨されています。
環境意識の高まりとともに、法令や基準も年々厳格化しています。
まとめ
キュービクルは単に電気供給の中核を担うだけでなく、節電・省スペース化、事業所のBCP(事業継続計画)対策、さらには環境配慮型社会への対応まで、多様な付加価値を持つ設備です。
今後、再生可能エネルギーの導入拡大やエネルギー効率化の流れの中で、キュービクルの役割はますます重要になっていくと予想されます。
そのため、長期的な視点での計画的な設置や更新が、企業や施設の価値向上に直結していくといえるでしょう。